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入院中のサポート

当事者が病院に望んでいること

当会でアンケート募集した「病院への要望」に集まった296件のご意見を参考にまとめました。

 

プライバシーが守られ、周りを気にせずに悲しみを表出できる環境 〜個室での対応〜

当事者にとって、たくさんの新しい命が生まれる産科病棟にいること自体がとても苦しいことです。他の妊産婦さんのいる大部屋では、悲しみを押し殺し、泣くこともできません。できる限り、個室での対応をしていただければと思います。

(当事者からの声)

  • 一人で思いっきり泣ける場所を提供してもらいたい。
  • 妊婦さんの部屋から一番遠い個室に、室料減免で入れてくれたのがよかった。
  • 2人部屋だったが、人を入れずに個室状態にしてくれたのがよかった。

 

悲しみを刺激しない、安心して過ごせる環境

入院中の診察や産後健診で他の産婦さん・赤ちゃんと同席するのがとてもつらかったというお話しを多く伺います。他の妊産婦さんや生まれたばかりの赤ちゃんの姿を見たり、声を聞いたりすることは、自分の赤ちゃんは亡くなったという現実を突きつけられ、とてもつらいことです。できるだけ、他の妊産婦さんや赤ちゃんと接することがないように、個室への配膳、診察時間の配慮などをお願いします。

 

(当事者からの声)

  • 看護師さんが 他の患者さんと会わないように気を配ってくださったことがよかった。
  • 病室では赤ちゃんの声が聞こえないように気遣ってくれた。とてもありがたく、今でも感謝しています。
  • 会計などは後日請求などにして他の妊婦さんと一緒にいなくてはならない時間を少しでもへらしてほしい。

 

赤ちゃんを一人の人間として大切に扱ってほしい

お腹の中で亡くなった小さな赤ちゃんも、親にとってはかけがえのない大切な我が子です。元気に生まれた赤ちゃんと同じように、大切な存在として接していただけると嬉しいです。

 

(当事者の声)

  • 「抱っこさせてくれて、ありがとう」「まぁ、かわいい赤ちゃん」と、人間として扱い、話しかけてくれたのがよかった。
  • 少しの時間でも、抱っこしてすごす時間を大切にしてくれたのがよかった。
  • 一目で良いから会わせて欲しかった。洋服も着せてあげたかった。抱っこもしたかった。
  • 赤ちゃんをできれば可愛い箱に入れてほしかった。
  • 小さな赤ちゃんも人間なのですから、赤ちゃんに対して、「破棄」「捨てる」という言葉は使わないでほしい。

 

赤ちゃんとの思い出の残し方・お別れの仕方について、サポートしてほしい

当事者にとって、赤ちゃんの死は突然のことであり、「赤ちゃんをどのように見送るのか」ということまで頭が回らず、後から後悔することも多くあります。呆然としているご家族に、赤ちゃんとの思い出を作ることの意味を伝え、ご家族が「赤ちゃんにできるだけのことをしてあげられた」と思えるように、サポートしていただけると嬉しいです。

 

(当事者からの声)

  • 亡くなった赤ちゃんとゆっくりできる時間を作ってほしいです。
  • へその緒を取っておいてくれたのがよかった。
  • 子供が生きていた証(手形、足型、へその緒、髪の毛、写真)がほしい。「足型とりますか?」「写真をとりましょうか?」と聞いてほしい。
  • お産の前に、死産であっても、赤ちゃんを抱っこしたり、お乳をあげたり、添い寝するよう勧めてほしい
  • 洋服を着せてくれ、手の空いていた助産婦さん皆がお花を1人1本ずついれてくれ一緒にお別れしてくれてうれしかった。
  • 病院で用意してもらった白い箱に、折り紙や粉ミルク、お花が入っていて、白いタオルにくるまれた赤ちゃんの小さな指はお祈りするように組んでもらっていました
  • 火葬の時は外出許可したり、遺骨のことなども「ない」と決め付けず、できる限り残せる方法を考えてほしい。

 

赤ちゃんを亡くした家族の悲嘆(グリーフ)とはどのようなものなのかを理解し、悲しみに寄り添った対応をしてほしい、悲嘆への無理解から生じる、間違った声かけ・対応をなくしてほしい。

大切な人を亡くしたあとに生じる心や体のさまざまな反応は「悲嘆(グリーフ)」とよばれ、赤ちゃんを亡くした当事者の多くが、この悲嘆を体験しています。

悲しみの直後は、感情が麻痺し、一見、冷静に見える場合もありますが、頭の中は混乱しており、冷静に見えるから大丈夫というわけではありません。出来事を受け止める過程の中で、「自分のせいで赤ちゃんを死なせてしまった」と自分を責めたり、「医師や助産師さんがちゃんと診てくれていなかったからではないか?」と医療者に怒りを向けたりと、1人1人、さまざまな反応を示すので、当事者への一通りの正しい接し方というものはなく、医療者の方も日々悩みながら対応されていることと思います。

医療者からの声かけ・対応でよかった点、悪かった点について、以下に当事者の声をまとめましたので、参考にしていただければと思います。

 

(当事者からの声)

  • どうしても涙をこらえきれなかったのだが、看護師さんも一緒に泣いてくれて、心が落ち着いた。
  • 出産の時、助産婦さんがずっと手を握ってくれていたのが嬉しかった。
  • ラミナリアを入れる際、想像を絶する痛みでしたが、看護師さんのタッチングでかなり気持ちは和らぎました。看護師さんがどんな気持ちでいたのかわかりませんが、あの手のぬくもりは忘れられない。嬉しかった。
  • 出産の時、目をそむけず私の赤ちゃんを見てくれたこと。細かいことですが、本当に嬉しかったです。
  • 「お母さんが頑張ったから赤ちゃん笑って出てきたよ」という言葉に救われました。
  • 出産して「頑張ったね。本当に頑張ったね」って言ってくれた。
  • 時間をかけてゆっくり話を聞いてくれた、今考えたらこいつ馬鹿じゃないのかって思える内容にも・・・。
  • 先生がとても優しかった。しつこいくらいに「自分の責任ではないから、責めたりしないように。」と言ってくれた。
  • 内診がとても丁寧で器具や指やプロープをいれるたびにきちんと声をかけてくれるのがよかった。
  • 退院の時、「沢山泣いていいんだからね」って言葉をかけてくれた。
  • 「退院後に気になることがあったら、いつでも連絡してくださいね」という姿勢がスタッフみんなにあったのがよかった。
  • 看護婦さんたちに励まされました。今度はお産で絶対来てね!大丈夫絶対できるよ!って・・・震えていた私の手を握ってくれたこと今でも忘れません。
  • 赤ちゃんの遺体を引き取って帰る時には、看護師長さんが深々と頭を下げて見送ってくれた。
  • 医者が自ら時間をとってゆっくり説明してくれたことがよかった。
  • 医師は、「次はきっと大丈夫だから。次も必ず僕が診てあげるから」と言ってくれ、それがとても嬉しかった。
  • 流産後の説明の後、最後診察室を出る時に、先生が「残念でしたね。」と、深々と頭を下げて見送ってくれた
  • 2回目の妊娠の時、主治医がすごく丁寧に診察してくれて励ましてくれたのがよかった。
  • 主治医の先生・看護師さんの一言一言が、患者さんの生きようとする『力』に大きく作用します。
  • 当人にとっては衝撃が大きいのだから、順を追ってよく説明し、不安を抱かせないようにしてほしい。質問しやすい雰囲気をつくってほしい。
  • 五感が敏感になっていて、些細なスタッフのコトバや行動でショックを受けることがあることを認識していてほしい。
  • 「大丈夫ですか?」という言葉を言わないでほしい。大丈夫な人がいるわけがないと思います。
  • 「流産は珍しいことではないから」「流産は自然淘汰だから」という言葉では救われません。
  • どうしようもないことであれば、「申し訳ない」という思いで言葉にしてもらえれば、天使ママも気持ちが救われます。
  • 体のケアと同時に心のケアにも力を入れていただきたいと思います。何気ない一言で、傷つけられることもあれば、癒されることもあります。そういうことも、関係者のみなさんで、常に話し合っていただけたらと思います。
  • 今回、やむを得ずメンタルクリニックに通い、そこで死産専門のカウンセラーがいることを教えてもらいました。このような連携を、退院時や産後の検診時に何かしらの方法で行えば、ずいぶん救われる人もいるのではないかと思います。
  • 習慣性流産、不育症を扱う病院は、メンタルな部分でのフォローを考えてください。本当は赤ちゃんが欲しくても「また流産してしまうのでは・・・」という不安な気持ちがいっぱいで、子どもを諦めてしまいました。