HOME > 約一年前死産しました。すぐに自然妊娠して安心しましたが、トイレで塊が出て、先生は流産の手術で出すものだと言われました。先生は傷つけないようハッキリもう無理だと言わなかったのでしょうか。不育症の検査も受けるか微妙なところと言われました。

約一年前死産しました。すぐに自然妊娠して安心しましたが、トイレで塊が出て、先生は流産の手術で出すものだと言われました。先生は傷つけないようハッキリもう無理だと言わなかったのでしょうか。不育症の検査も受けるか微妙なところと言われました。

【 相談内容 】

約一年前死産しました。原因不明の39週での死産でした。妊娠高血圧もあり、点滴しながらのお産でした。
それからしばらく痛くてそういった行為もできず、できるようになって自然に妊娠したらなと夫と話していて2ヶ月くらいで妊娠発覚。すぐに自然妊娠して安心しました。ですが初期から前回とは症状が違い全くつわりもなく、胎嚢も小さくと不安でしたしあまり喜びすぎると何かあったとき立ち直れないので毎日何かあるかもと思い過ごしていました。
3日前茶色いおりものになり、濃くなってきたので受診。経過観察するしかないと言うことで帰宅。赤ちゃん一週間で胎芽の姿を見せてくれましたが心拍確認できず。流れたと覚悟して行ったので安心しました。
翌日夕方から鮮血で、夜用ナプキンがだくだくになりました。でもドバドバでているわけでもなく、昨日受診したから様子を見ることにしました。
翌朝トイレへ行くと塊が出てきて、再び病院へ行きました。先生は出てきた塊は流産の手術で出すものだと言われました。ネットを見ると塊出ても生きてたっていう方もいて、エコーでは赤ちゃんの姿は見えなく出血で隠れているかもとのこと。先生は傷付けないようにハッキリもう無理だと言わなかったのでしょうか、怖くて聞けませんでした。なのに子宮収縮の薬を飲むのが怖くて飲めません。
そして、39週での死産、初期での流産。全く違うから言い切れないけど不育症の検査も受けるか微妙なところと言われました。
なんでまわりは簡単に子供を持てているのに、こんなに健康体な私にはそれが無理なんだと悔しくてたまらないです。神様や、亡くなった赤ちゃんが見守ってるよなんて言葉も信じられません。
こんなに怖い思いをするならもう妊娠したくないとも思いますが、やはり子供を持ちたいです。

【 回 答 】

すず様
すずさんは、1年前39週で’いのち’とのお別れを経験され、その後自然妊娠された’いのち’と、今またお別れが…。そして、すぐにポコズママの相談室にご連絡をくださったのですね。
3日間、すずさんにどのようなことが起こり、そのひとつひとつをどのような気持ちで受けとめていらしたかが細やかに伝わります。
昔むかしの出来事のはずの私自身の幾度かの経験と重なることばかりで、その時の気持ちを思い出しました。ドクターの「(もう子宮は空っぽなので、’いのち’の存在の)証拠はない」、「なかったものと思いなさい」という言葉が、永い間、私の心の痛みになってしまいました。(もちろん、私の時代にも、心あるドクターはいらしたとは思うのですが…。)

すずさんは、エコーでの対面もあり、’いのち’が育ち始めていることを確かめることができました。そして、すずさんは、’いのち’が伝えようとするさまざまなサインを受け止め続け、3日間を過ごされました。子宮の中で起こっているさまざまな出来事は、すずさんと小さな’いのち’との協働作業—母と子だけが知る世界ですね。

心音が聞こえず子宮に留まった赤ちゃんは、手術によるお別れになります。私の最初の経験は、このような手術が必要な稽留流産でした。別の経験は、今回のすずさんととても似ています。大量の血液のなかに’いのち’の存在にも気付けずに別れてしまったことの悔いが続きました。時を経て、小さな’いのち’は、自ら子宮を飛び出すことによって、懸命に母のからだを守ってくれたのだと思えるようになりました。

時代が進み、妊娠や出産に関わる医学は急速に進歩をしています。
私の時代にあったらなぁ…と思う情報も多くあるのですが、医学用語で語られる言葉では、意味が伝わりにくいなぁと思うこともたくさんあります。
例えば、「不育症」とその治療については、経験された方にお話を伺った時に、「それは、赤ちゃんに出会うための’希望’の治療なのですね!」と思わずお尋ねしてしまいました。私は、「不育」という言葉から無意識に「何かがダメ」というネガティブイメージを重ねてしまっていたのですね。でも、母体の体質を調べて、それに適した治療を行うことで、母にも子にも安全な出産が可能であることを教えていただきました。ある方は、2度のお別れを経験されて、哀しみの日々のなかで、ふと「不育症」という言葉を思い出されて、自分から医療機関に出向かれたそうです。一方、同じ治療法でも限界があったという方もいらっしゃいました。(お二人とも、それぞれに適した選択をされて、お母さんをなさっています。)
母体の特質はそれぞれに異なっているので、一人ひとりに適した周産期医療が可能な時代になっていることに気付かされました。

ドクターがすずさんに伝えたかったことを考えてみました。「39週まで赤ちゃんが育ち続けた事実があるので、不育症治療が適合しないかもしれないけれど、可能性をひとつひとつ確認していくこともあるのではないか―」。でも、哀しみの真只中のすずさんに冷静に説明できるドクターは多くはないかもしれません。今回、手術はなかったとはいえ、これまで赤ちゃんが育つための準備を整えていたすずさんの子宮が、恢復するまでには、十分な静養の時間が必要です。まずは、検診で健康状況を見ていただいた上で、これからのご相談もできると良いですね。

>やはり子供を持ちたい
すずさんの願いを大切になさってください。
小さな’いのち’とのお別れという哀しみと向き合いながら、新たな’いのち’と出会うためにご自分に適した方策を見出していく。これからは、このふたつの時間を過ごしていくことになるでしょう。

‘いのち’とのお別れの経験者は、決して少なくはありませんが、日常会話のやりとりができるテーマでもありません。もし、すずさんのお近くに経験した人同士が出会える場があれば、つながってみてください。それぞれの経験は異なっていても、突然のお別れを経験した同士だからわかる想いもあるものです。新たな’いのち’と出会う道を歩くための勇気もチャージしていかないと!
それから、新たな’いのちと出会うためにも、ドクター(たち)には丁寧な説明をしていただかなければなりませんね。この旅は、パートナーと手を携えて歩んでいかれますように。

もちろんすぐにお気持ちが整うことは難しいと思います。
しばらくは、すずさんがこれまで経験したことのないほどの感情の嵐が吹き荒れるかもしれません。(私もそうでしたが)経験した方の多くが、「まさかこんなことが」「どうして私(たち)に幾度も」という気持ちに苛まれ、擦れ続けることでしょう。
揺れているように感じても、それは未来に向かう道…。
一日一日を大切に歩んでいかれますように。

相談者:すず様
回答者:田村芳香