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一卵性の双子を20週で人工死産しました。夫婦で話し合って人工死産という選択をと流産ました。毎日苦しいです。

【 ご相談内容 】
一卵性の双子を20週で人工死産しました。
1人は重症な胎児水腫で生まれてくることはできないと13週から告げられ、もう1人は元気だけど、双子である以上影響受ける可能性があると。
20週になって、1人はどんどん浮腫が進行するけど心拍はしっかりしているけど時間の問題。もう1人はまったく元気。だけど、それでも元気な子が元気なままで生まれてくる可能性は普通の正常妊娠よりはるかに低い。
1人は元気なのにという葛藤の中、夫婦で話し合って人工死産という選択と流産をしました。
浮腫んでる子のことばかり悩んでしまい、妊娠中、2人に声かけたりしてあげることもできずただ毎日泣いて悩んでいました。

そして今は、なんであんなに浮腫ませちゃったのか、元気な子の生命力に賭けられなかったのか、毎日苦しいです。悩んでばかりいて、思いやってあげられなかったことも悔やみ、2人のために洋服作ったりしています。日常生活に戻れるかな。こんな親を2人は許してくれるのでしょうか

【 回答 】

tpさんが双子のお子様たちと過ごされた20週の濃密な時間を思い巡らしてしまい、お返事が遅くなり申し訳ありません。
そのあいだにも、お子様たちのお洋服はできましたか?
私は、tpさんが針仕事に向き合われたことに感心しました。
お子様たちのことを想い、布を選び、デザインを考え、チクチク、チクチク、一針一針に思いを込める―。

東日本大震災後、被災地の女性たちが、チクチクと針仕事をすることでつながりあい、手仕事で哀しみを乗り越え、それが街おこしにもつながったことを伝え聞き、作品を購入したことを思い出しました。
チクチク、チクチク―それはいのちを想うとても大切な時間ですね。

>重症な胎児水腫
>浮腫が進行
私は、お子様とのお別れをされた方たちのご体験を伺いながら、とても詳しくお腹のお子様たちの経過をお話くださることに驚くことが多いのです。しかも、医学の言葉を的確に使われて…。そして、思います。「そのようにお医者様がお話くださったのですね」と―。
また、エコーのお写真を拝見して、本当にびっくりします。お医者様は、3D 4Dの超音波画像を通して、子宮の中で生きる赤ちゃんのことを伝えることができる時代になりました。
お子様たちの様子がリアルに伝えられ、いのちの危機に直面していることを知りながら、何もできない―。
お辛かったですよね。切ないですね。これ以上の無力感があるでしょうか。
7週間、本当によく頑張られたと思います。
>元気なままで生まれてくる可能性
いのちのリスクのお話を医学の言葉で伝えられた時、複数の選択肢や可能性が示されなければ、多くの方がtpさんご夫婦と同じ選択をされるのではないでしょうか。
また、限られた時間の中で、他の選択肢を求めることは、現在の日本の医療体制ではまだまだ難しいことかもしれません。
tpさんのご体験を含め、私たちがこのように体験を共有しあうことが、医療の言葉もいのちの言葉として変え、このような出来事に直面された方が、納得の選択ができるような時代を創っていけるようにしたいと、心から願わずにいられません。

tpさんへのお返事を考える日々の中で、私は子育て支援の専門家を目指す学生への講義のひとこまで、流産・死産を経験した女性たちのお話をさせていただきました。
出産=幸せな出来事というイメージを持っていた学生の皆さんは、まず、経験した人の数の多さに驚くのです。そして、幾人かの学生が身内から伝え聞いた体験談などを感想に書き残してくれました。
その中に80歳の祖母の双子の赤ちゃんを亡くした体験を伝えてくれた学生がいました。祖母の体験は、半世紀も前のことであるのに、昨日のことのように愛しくわが子のことを話していたこと。それは辛い体験であるはずなのに、双子の赤ちゃんを授かったことへの喜びや感謝を話してくれたこと。祖母の体験を聞くことで、妊娠・出産は、哀しい出来事もあることを知ったけれど、いのちを授かることの真の喜びを祖母が伝えてくれたことに感謝していると学生は綴っていました。

tpさんのお腹で20週間生きた双子のお子様たちのいのちは、tpさんが一針一針に思いを込める時間やこのように「相談室」で気持ちを伝えることなどを通して、新しい価値を育んでいるのではないかと私は思います。

末筆ですが、私が以前お会いした双子のお子様がお空の天使となられた方は、お気持ちをお話くださった後、早々にお子様を授かられたそうです。「死産した事はとても悲しい事だったけど、命の尊さを教えてくれた双子ちゃんに恥じないよう、愛情をもってお兄ちゃんと赤ちゃんを育てていこうと思っています」とお知らせくださいました。その赤ちゃんも今年は2歳を迎えられるのでは?

tpさんの文章からは、その時、その時をまっすぐに、誠実に生きていらっしゃる姿が伝わります。今を大切に―。その向こうに新たな出会いがありますように―。

 

相談者:  tp 様
回答者: 田村 芳香