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はじめまして。30代の女性です。人間として歪んでいるのか流産した赤ちゃんを恨んでしまいます。前向きになれるように相談にのっていただけたら助かります。

【 ご相談内容 】
はじめまして。30代の女性です。
人間として歪んでいるのか流産した赤ちゃんを恨んでしまいます。
まるで悪魔のように思えてしまうので悩んでいます。

結婚して5年、二回の流産を経験しました。
一回目は結婚1年目、心拍確認後の8週で亡くなり自然に流れるのを待って12週で体内からでてきました。
二回目は結婚5年目で不妊治療3年目で自然妊娠した待望の赤ちゃんでした。
心拍も確認出来て、8週目順調かと思いきや先週に心拍が止まり今週末、手術することになりました。

一回目に流産の時、ショックが強く精神的に不安定でストレス性のひどい腰痛になり6カ月、ろくに家事もできず歩けませんでした。ひどいときは靴下をはくことすらできなくなりました。
そしてメニエールにもなり、毎日ひどいめまいと耳鳴りで何度も倒れたり吐いたりして入院もしました。吐くことが多かったせいか逆流性食道炎、胃潰瘍にもなりました。

インストラクターをしていたので、体調が悪すぎて仕事をやめました。
いろんな治療も受けて転地療法もして2年経ってやっと回復してきて不妊治療を始めました。
そして不妊治療に100万以上もかけて体質改善や子宮ポリープの切除手術などもして、3年後の今やっと2回目の妊娠をしたのに、また流産・・・。

なんだか、赤ちゃんのせいで自分の身体は腰痛にもなりメニエールにもなり、胃潰瘍や逆流性食道炎にも悩まされ、健康な心身を奪われたように思います。
健康な心身だけでなく、仕事も時間もお金もたくさん奪われました。
また、流産の時の痛みもトラウマです。
赤ちゃんが生まれるわけでもないのに、出産のような痛みをあじ合わされるのです。あの痛みはなんの生産性もない・・・とんでもなく損をしている気分です。今週末、またそんな無毛な痛みを味わうことになるのだと憂鬱しかありません。何のために赤ちゃんは私のところにきたのでしょうか。まるで私を苦しめるためにおなかに宿ったような悪魔に思えるのです。

そう思える自分が嫌です。
こんなだから私は母親になれないのか。
人間的に未熟すぎるのか。

周りに相談できる人がいません。実の母は早くに亡くなり、知らない土地に引っ越したので知人もいません。
実家の近くの友人たちは流産した人がいないので電話もできないし、旦那は優しく寄り添ってくれますが申し訳ないけど旦那の言葉はまるで響いてきません。
男のお前に何がわかるんだって逆に腹が立ってきます。
こんな汚い内面の吐露することにみじめさすら感じますが、前向きになれるように相談にのっていただけたら助かります。
よろしくお願いいたします。

【 回答 】

ハスキーさん、初めまして。
ご返信が遅れまして、本当に申し訳ありません。

手術はもう終えられた頃でしょうか。御身のお加減はいかがですか?どうぞお大事になさってください。

二回の流産、おつらさはいかばかりか、察するにはあまりあるものかと存じます。なんと書いてよいのか、申し上げる言葉も見当たりません。

一般に流産や死産の経験は、女性の心身に大きな影響をおよぼすことがよく知られています。ハスキーさんのご経験は同じような経験をした女性には比較的みられるもので、つらい経験のあとにはこういうことになる人が少なくありません。こうした状態をグリーフと呼びます。
これは自分にとって大切な人、大切なものを失った状態と同じです。

つらいことを経験し、自分のことがイヤになってくると、お腹の子のことも否定したくなります。お子さんを恨んでしまう感情、あるいはお腹の子が悪魔に思えてしまうというのも、広い意味でグリーフの一つと考えることができます。グリーフというと、悲しみの感情のように理解されがちですが、必ずしも感情だけではなく、ものの見方が変わってしまったり、身体の状態が悪くなることもよくあります。グリーフは心身全般に影響するということです。

「これだけ苦労して妊娠したのに、なぜ?」と思うのは、ハスキーさんのようなつらい経験をされた方なら誰でも、そう考えやすくなります。それほどの苦労をしたのだからこそ、つらさがより一層、強くなってしまうんですね。このことをご自分で責めてしまって、さらに自分がイヤになってしまう・・・
一種の悪循環のようです。その悪循環をさらにご自分で責めてしまったり・・・こうした状態のときに一番大切なことはこうした経験があると、誰でもハスキーさんの状態と同じようになる可能性が高い、ということを知ることです

今のハスキーさんの状態はハスキーさんが人間的に未熟だとか、母親に向いていないからだということではまったくありません。
むしろそうしたつらい経験があれば、誰でもそういうつらい状態になってしまうということです。

ここで一つ、ちょっと簡単なことを試してみて欲しいのですが、ハスキーさんの一番大切な友だちが今のハスキーさんと同じ経験をしたとしましょう。ハスキーさんはその大切なお友だちになんと声かけしますか?この声かけを、そのままの言葉で自分自身にしてみることができるでしょうか?

ハスキーさんに大切なことは、今のご自身のことをこれ以上、責めずに、今の状態を見つめていくことかもしれません。
気持ちを見つめていて泣きたくなったら、泣いてもいいんです。

ご主人の言葉が胸に響いてこないというのも、同じ経験をした女性でよく見られます。男性もこうした状況では夫として、そして(父親になれなかった)男性として、一種のグリーフを経験しています。
ただ気持ちを言葉に出しやすい女性とは、男性ではグリーフに対する対応の仕方や気持ちの出し方が少し異なることがあります。
この男女の微妙な違いが、その後の夫婦のコミュニケーションを変化させることもよくあります。
まずは、ご主人もグリーフを経験している当事者であると知り、ときにはご主人の気持ちを聴いてみることもあり得るのかもしれません。

もし、ご自分に少しでも外出したり、誰かに話したりしたいという気持ちが出て来たら、ポコズカフェのような、同じような経験をした人同士で体験や気持ちを分かち合うグループ(こういうグループを自助グループとか、セルフヘルプグループと呼びます)があちこちにあります。
そうした会でお話しをされてみる、というのも一つの方法です。同様の会はポコズママの会だけではなく、さまざまな場所でさまざまなグループがあります。よかったらネットで検索してみて下さい。

今は、今日できることは明日以降に延ばしてゆっくり心身を休めましょう。これからのことは、あとで考えるのがいいと
思います。今はご自分に一番優しく、自分を大切にして、自らに慈しみの気持ちで接してください。

ハスキーさんに、少しでもこころ安らかな日々が訪れますことを切に祈っております。
 

相談者:ハスキー様
回答者:富田 拓郎