HOME > 今月、待望だった初めての子どもを無頭蓋症で人工死産しました。無頭蓋症の子どもを妊娠した人は、次の妊娠からは普通の人の10倍の量の葉酸を飲む必要がある、というのを聞きました。次の妊娠までに葉酸をどのように摂取すれば良いのか教えて頂きたいです。

今月、待望だった初めての子どもを無頭蓋症で人工死産しました。無頭蓋症の子どもを妊娠した人は、次の妊娠からは普通の人の10倍の量の葉酸を飲む必要がある、というのを聞きました。次の妊娠までに葉酸をどのように摂取すれば良いのか教えて頂きたいです。

【 ご相談内容 】

今月、待望だった初めての子どもを無頭蓋症で人工死産しました。15w3dでした。
脳はありましたが、頭の骨だけが作られず、生存率は0%と言われ、悲しみに押し潰されそうになりましたが、死産を選択しました。
先日、死産から3週間が経ち、検診に行ったところ、身体は問題なく順調に回復しているとのことでした。

この子を妊娠する前、妊娠中も毎日、葉酸のサプリメントを飲んでいたのですが、我が子は無頭蓋症でした…

無頭蓋症の子どもを妊娠した人は、次の妊娠からは普通の人の10倍の量の葉酸を飲む必要がある。というのを聞きました。医師にも聞いてみたのですが「無頭蓋症が2人続いた人は見たことがない。大丈夫じゃない?」としか言われず、きちんと回答してもらえませんでした。

本当に10倍の量の葉酸を飲むべきなのでしょうか?また、葉酸の過剰摂取での副作用の有無についても不安です。

また同じ悲しみを経験したくはないので、次の妊娠までに葉酸をどのように摂取すれば良いのか教えて頂きたいです。

【 回答 】

そらママさん

この度は大切なお子様をなくされたこと、とても残念だったと思います。
ここでは、医学的なことについて、一般的な説明をさせていただきます。

無頭蓋症は、妊娠の早めの時期に、中枢神経(脳や脊髄)を包む骨、すなわち頭蓋骨や脊椎がうまく作られないことによっておきます。
このような先天疾患を、神経管閉鎖不全と言い、無頭蓋症はその中のひとつです。
神経管閉鎖不全は、出産10,000件に対して、約8件の発症があると言われています。
神経管閉鎖不全は、複数の遺伝的な要因や環境の要因が組み合わさって生じると考えられています。
そして、葉酸は、発症のリスクを下げる因子として知られています。

ここで覚えておいていただきたいのは、葉酸は発症と関与する多くの因子のうちのひとつであり、葉酸を摂らなかったからおきた訳でなく、摂ったら必ず防げるというわけでもありません。

実際に、上のお子様に神経管閉鎖不全があった場合、次のお子様に発症するリスクは一般の10倍以上になると言われています。
しかし、10,000人のうち8人の状態のリスクが10倍以上になっても、実際のリスクは1%程度と計算できます。
(日本より頻度の高い海外でも、次回妊娠時の発症リスクは2~5%とされています)
このため、担当の先生がお話しされたように、繰り返さない方が多くいらっしゃるのです。

上のお子様が、神経管閉鎖不全のお子さんを授かった場合、より多くの量の葉酸摂取が勧められます。
実際の摂取方法は、4~5mgの量を妊娠前から妊娠3か月まで摂ることが推奨されていますが、一般的な妊婦さんの推奨量である0.4mgの10倍になりますので、必ず医師との相談が必要です。

診療録などを拝見したわけではないので、断言はできませんが、状況的には葉酸摂取が勧められると考えます。
遺伝に詳しい産婦人科の先生や遺伝カウンセリングに対応できる施設で、もう一度ご相談なさってはいかがでしょうか。
 

相談者:そらママ 様
回答者:三宅 秀彦