HOME > 娘を子宮内胎児死亡でお空に還しました。不眠、食欲低下などがあり、とにかく何も手につきません。苦しくて身体の震えも止まらず、もどかしく思う日々です。

娘を子宮内胎児死亡でお空に還しました。不眠、食欲低下などがあり、とにかく何も手につきません。苦しくて身体の震えも止まらず、もどかしく思う日々です。

【ご相談内容 】
はじめまして。以前からこちらのホームページを拝見させていただいております。あたたかい寄り添いをいただいてる気がして、救われています。そんな中で、ご相談できると知り今回ご相談に乗っていただければと思い、お邪魔させていただきます。よろしくお願いします。

去る今年の8月に、娘を子宮内胎児死亡でお空に還しました。そこからの月日、罪悪感や悔しさ、怒りそしてなによりの悲しみを感じ泣ける時は泣いてきました。その中でも、母になれた事、娘を宿せたことに誇りを感じ、前を向こうと出来ていたように思います。

そこから3カ月がたった今、原因不明の苦しさが押し寄せてきてしまっています。不眠、食欲低下などがあり、とにかく何も手につきません。不安、焦りなどなど、ネットに頼ればうつ状態と呼ばれるものでしょう。医療機関に頼ることも考えてはいますが、一度頼った際に、死産後間も無くだったので、何も話を聞いてもらえず、「当たり前」ということで帰されました。そこは妊婦専用の大きな病院で、そこでの常勤の精神科の先生だったので、精神科医の中でもより専門の方です。私自身も、当たり前だと思います。このような事もあって、心療内科へ行くのも躊躇ってしまい、また、薬を飲んで解決する問題でもないという思い、この苦しさも愛する我が子が与えてくれたのであれば、そこから目を背けず受け止めたいという強い思いがあります。

しかしながら、情けないことに苦しくて身体の震えも止まらず、もどかしく思う日々です。主人も同じ辛い想いをした中で、頑張って働いてくれているのに、私は甘えて朝起きる事もままなりません。そんな自分にますます自己嫌悪しか浮かばず、、、。いっときではありますが、前を向けていた自分がいただけに悔しいのです。もしかしたら、産後1カ月の段階で、家計の足しにと、また頑張ろうと意気込んで内職をしたのですが、(今は辞めてます)悲しむべきときに悲しまなかったのが今この状態を生んだのかなぁなんて思いつつも、、、。ただただ、悔しいです。つよい母になりたいと思うのに、、、。

亡くなった我が子を今から産む際に、陣痛の痛みに耐えながら不安でたまらず実の姉に電話をしたら、話がこじれ「死ね」と言われました。死ぬ気は毛頭ございません。しかしながら、無意識に自分の価値が見出せなくなってきているのでしょうか。 一日、一日が今は苦しくて情けなくて、、、。このような現象はおこって然りなのでしょうか。

まとまりのない文章、申し訳ありません。アドバイスの仕様がないかもしれません。吐露する場ではないのに、ただ相談よりも吐露しているかの内容、申し訳ないです。これはやはり医療機関へ行く方がいいですよね、、、。どうしても自分で乗り越えたいのですが、、、、。

【 回 答 】
ふく様

まずは・・・。8月のご出産、本当にお疲れ様でした。限られた時間ではありましたが、ふく様はひとつのいのちの母。

>母になれた事、娘を宿せたことに誇りを感じ
この言葉から、妊娠を知った日のこと、エコーや心音や胎動でいのちの成長を感じた日々のふく様の喜びが伝わって参ります。「産声のない出産」は、赤ちゃんとの出会いとお別れに同時に向き合わなければなりません。その後、これまで経験したこともない程の感情の嵐が吹き荒れることは、自然なことです。

>泣ける時は泣いてきました
それは、とても大切なことです。

>罪悪感や悔しさ、怒りそしてなによりの悲しみ
ふく様は、適切な言葉で、感情を捉えることが出来る方ですね。

>産後1カ月の段階で…内職を…
ふく様は、生活環境を変えようとなさったのですね。この視点も、大切なことです。始めてみたこと、中断されたこと、いずれも、ふく様の行動力や現実対応力が伝わります。

>主人も同じ辛い想いをした中で、頑張って働いてくれている
ご夫婦で赤ちゃんとのお別れと向き合うことが出来たのですね。本当に良かった…。哀しみの経験から間もない今は、ある意味でパートナーに甘えてもよいのではないかとも思うのです。妊娠した直後から、女性はいのちを育み、育てるための体に変化しています。いのちを守りながら過ごしてきた日々の記憶は、母であるふく様にしっかりと刻まれていることでしょう。つわりに苦しんだ日もあることでしょう。母になる日を想い、至福に包まれた日もあることでしょう。そして、お別れ…。筆舌に尽くしがたいほどの喪失感。どんなに察してほしいと願っても、男性には察することは難しいことかもしれません。知っていてほしいことやしてほしいことは、機会あるごとに伝えあっていければよいですね。周囲の人からは、一組のご夫婦かもしれませんが、ふく様とパートナー様は、お空の赤ちゃんのママとパパ、「家族」なのですから。

>何も話を聞いてもらえず、「当たり前」ということで帰されました
お辛い日々のなかで、ふく様は、他者の手助けを求めて、受診をされたのですね。その行動も適切であると思います。その時のふく様は、「ただただ、聴いてほしい」というお気持ちだったのではないかと感じました。でも、お医者様は、「心身の変調はありません」というご診断だったのかもしれませんね。いのちの言葉と医療の言葉は、しばしばすれ違いを起こすものです。残念なことですが…。どうぞ、この出来事を医療や医師への不信に直結なさいませんように願います。
ふく様のような出来事を伺うたびに、私たちの経験から得られたいのちの言葉が、医療の世界でも理解していただけるように、もっともっと頑張らなければならない―と、いつも思います。

>実の姉に電話
激しい陣痛のなかで、ふく様は、誰かに「わかってほしい」という気持ちだったのかもしれません。「産声がない出産」も「出産」です。医療的な処置も陣痛も変わりはありません。しかし、その痛みは、赤ちゃんとの出会いという希望につながるのではなく、お別れという哀しみにつながっているのです。経産婦の方であったとしても、共通の経験を持つ人同士でなければ、共感を伴う対話や声がけは難しいかもしれません。ふく様に刺さったままの言葉の矢は、このメールのやりとりの中で抜いてしまいましょう。抜いた傷口には、包帯を―。
ふく様には、危機の時にSOSを発信できる姉妹がいらっしゃることをかけがえのないこととなさってください。

>不眠、食欲低下などがあり、とにかく何も手につきません
>朝起きる事もままなりません

ふく様は、からだからのサインを適切にキャッチできていますね。しかし、一度、からだのサインとこころのサインを別々に受けとめてみませんか。
うつ病→心療内科→精神科受診への不信感…と直接的に結びつけていくことで、せっかくのサインを見落としてしまう場合があるかもしれません。睡眠の質はどのようですか?寝付けないのか。眠りが浅く、幾度も眼が覚めてしまうのか。早朝に目覚めてしまうのか。二度寝、三度寝を繰り返してしまうのか。食欲の低下の実際はどうですか?全く食欲がないのか。食べても味もしないのか。食べた気がしないのか。一人の食事は食べられないが、二人なら何とか食べられる等など。生活の様子はどうですか?家事をやることで気がまぎれる? やる気がしない?テレビを視るなどの日常が戻ってこない。活字が目にも入らない…。このように「できていた自分」が「できない自分」になることを責めてしまう人がいますが、「まさかこんなことが…」という出来事に直面した人は、誰もが通ることです。ただ、回復の道筋は、ひとりひとり違っていて、「自分にとっての納得の方法」を見出していくことが大切です。

体調の面と生活の面と両方のアプローチから、今の生活を整えていかれてはいかがでしょうか。体調面は、もちろん緊急性も考慮する必要もありますが…。信頼できるかかりつけ医がいらっしゃる時は、睡眠の辛さや急激な体重低下があるなどの場合は、そのような変化をお伝えして、一時的な処方を受けたり、受診すべき医療機関の助言をいただくこともひとつの方法かもしれません。からだの辛さを聞いてもらうだけで楽になるという場合も少なくはありません。しかし、このメールでは、詳しい体調を伺ってはいませんので、これが最適・最良と申し上げている訳ではありませんので、くれぐれもご理解ください。

ふく様のこのたびの経験は、「乗り越えていく」という言葉より、「受け入れていく」という出来事であるように思います。他者からは見えない出来事ですから、ふだんの生活をしているふく様とお空の赤ちゃんのママとしてのふく様がともに生きていくために、時間が必要です。

ふく様には、「気持ちを聴いてほしい」というお気持ちがあるのではないでしょうか。ポコズママの会など、共通の経験を持つ方の集いなどにつながることで、お気持ちを言葉にしたり、別の方の経験を実際に聞くことは、文字を通して知る経験談とは全く別の意味がございます。パートナーとの対話が、支えという方もいるでしょう。時には、日常を離れ、心と体を癒すことで、まずは疲れ切った気持ちを解き放すことが、きっかけになるという人もいます。家事が辛い時は、手抜きと考えずに、有償サービスを活用するという人もいるかもしれません。

現在の体力や気力にあわせて、ミニマムでよいので「あんしんな生活」を一日一日重ねることで、生活のリズムを整えていくことを大切にしていただきたいと思います。ふく様が願っていること、一番楽になりたいことは何でしょう?ふく様のこのたびの経験は、これまでの身に付けてきた方法では、うまくいかないということが、焦燥感になっているかもしれません。例えば、病気の回復は、適切な処置をすれば「治る」という経験知があります。あれもしたのに、これもしたのに、「治る」という実感がない…と。

>一日、一日が今は苦しくて情けなくて、、、。
>このような現象はおこって然りなのでしょうか。

はい、とても自然ことです。「苦しくて」と感じられるということは、ふく様がそれだけ深くていねいに向き合っているからです。

>ただ相談よりも吐露しているかの内容
いえいえ、吐露すること、それが真の相談ではないでしょうか。相談とは、相対して話すこと。ふく様は、しっかりと自分の気持ちを語ることができる方です。

心情は刻々と変化するもの・・・。大きな波、小さな波が次々に押し寄せるよう・・・。自分だけが周囲と切り離されたような、みんながガラスの向こうにいるような―。
いろいろな感情が混じり合って、今はお辛い日々ですね。揺れながらも、気持ちを言葉にすることを続けてみてください。時には。他者の力も借りながら、少しずつ、ふく様ご自身が、ご自分のことを「わかる」という感覚がひろがってくるとよいですね。

相談者:ふく様
回答者:田村芳香