HOME > 2ヵ月前に次女を出産後11時間で亡くしました。長女(5歳)には病気発覚後に説明しました。四十九日の法要の後から甘えが強くなり、家では私にべったりです。どう対応していくべきか分からずにいます。

2ヵ月前に次女を出産後11時間で亡くしました。長女(5歳)には病気発覚後に説明しました。四十九日の法要の後から甘えが強くなり、家では私にべったりです。どう対応していくべきか分からずにいます。

【 ご相談内容 】
2ヵ月前に次女を出産後11時間で亡くしました。
妊娠22週で重度の病気が発覚し、死産することも多く、生きて産まれても短命だと説明を受けていました。私自身は少しでも生きてくれたことに感謝しています。悲しくはありますが、受け入れています。

長女(5歳)には病気発覚後に説明しました。出産後赤ちゃんにも会っています。亡くなった後は「頑張って産まれてくれてありがとう」と仏壇に向かい話していました。
幼稚園では今まで通り楽しそうに過ごしているようです。家では私に甘えてくることもありましたが、前と変わらず遊んでいました。

その後、四十九日の法要の前後から「赤ちゃんいなくてさみしい。」「お母さん、赤ちゃん元気に産ませられなかったんでしょ」と母である私にだけ度々言うようになりました。
また甘えが強くなり、家では私にべったりです。
さみしいという気持ちを共感したり、長女の気持ちを受け止めるようにしていますが、どう対応していくべきか分からずにいます。

お忙しい中申し訳ありませんが、どうぞアドバイスを宜しくお願いします。


【 回答 】

ご返信が遅くなり申し訳ございません。

「いきてくれたことに感謝」。
次女様のいのちの誕生から11時間の生涯。めまぐるしい変化をご家族が心ひとつに乗り越えて来られたことが伝わります。
いのちの尊厳を知る母として、人として、覚悟のご出産をされたことに敬意を表します。

「長女には病気発覚後に説明しました]。
これは、本当に大切なことであると思います。

半世紀以上も時代を遡りますが、私も長女様のピア(仲間)でした。
私の母は、9歳違いの妹が生まれるまで、流産や死産を繰り返していました。幼い私にもいつもとちがう出来事が起こったことはわかりましたが、詳しいことを話してくれる大人はいませんでした。
子どもに心配をかけないために、子どもにわからないことは言わない―当時は、そんな時代だったのでしょうか。

でも、いろいろな光景を覚えているのです。
あらゆる記憶が呼び覚まされ、その意味を理解できたのは、私自身が流産体験をした時でした。
母の想いに寄り添うこともできずに、何十年も生きてきたことをものすごく残念なことだと感じました。

あの頃、小さな私が聞きたかったこと、知りたかったことも、たくさんあったのではないかと思います。
ところが、私自身が自分の体験を長女に伝えてあげることが出来たのかというと、やはりできなかったのです。今から20余年前においても、流産・死産・新生児死という体験は、社会に対しても、ましてや子どもに対しても秘すべきものという通念に覆われていたのですね。

伝えること―。
この配慮があって、長女様は、「家族の一員」としてご両親様と同じ時間を生きていくことができます。「さみしい」と想いを言葉にすることができます。仏壇に手を合わせる意味もわかります。

「甘えが強くなり、家では私にべったり」
大きな出来事からまもない今、むしろ自然なお姿ではないかと感じます。
長女様の立場から見れば、「ママを守る!」ためにできることが、ママのそばにいることやママを抱きしめる(つもり)のことであるかもしれません。
長女様が自分の気持ちを素直に伝えられているということは、相談者様がそのような信頼関係を育んでこられた証だと思います。

でも、まだ語彙力も発展途上の就学前のお子様にとって、喪失の体験を語ることや哀しみの感情を言葉で伝えることは難しいことです。ママを慰めるための言葉を探すことも―。幼いお子様の言葉や行動が、相談者様の哀しみを引き出すこともあるかもしれません。

長女様のさみしさと同じように、ママの気持ちもお子様にわかる言葉で正直にお話ししてよいと思います。何かご一緒にできる日課を取り入れてもよいかもしれません。子どもなりの工夫やがんばりも認めてあげてください。
応答的な関係が、絆を深めていくことになるのではないでしょうか。

相談者様の母としての哀しみの深さと、周囲の方たちの哀しみの色合いはそれぞれ違いがあるものです。それを感じながらも、ご家族それぞれの等身大の言葉で、想いを伝えあえる―そのような関係を育むことが、お空の赤ちゃんとともに「家族」になるということではないかと思うのです。

(追伸)
心情は時間とともに変化するものですが、お子様の体調や行動に著しい変化が感じられる時や相談者様がお子様との関わりにしんどさを深められる時には、また別のアプローチや専門家の手助けも必要な状況もあるかもしれませんので、ご様子をみてご相談ください。

回答者: 田村 芳香